財布を選ぶとき、皆さんはどこに注目していますか?
革の種類、デザイン、ブランド、価格など、選ぶ基準はさまざまだと思います。
しかし、同じように見える財布でも、実際に使ってみると、カードの取り出しやすさや開閉のしやすさ、手に持ったときの感覚に違いがあります。
その理由の一つが、財布の「仕立て」です。
良い革を使うことは大切ですが、それだけで良い財布が完成するわけではありません。
今回は、NOIR GARÇONが考える財布の設計と仕立てについてご紹介します。
財布の中でも、日常的に使用する機会が多いのがカード入れです。
カード段は、ただカードが収納できれば良いというものではありません。
カードの差し込み口の形状や段の間隔によって、取り出しやすさは変わります。
例えば、カード段の口元を工夫することで、カードを指でつまみやすくすることができます。
NOIR GARÇONでは、カードの収納枚数だけでなく、日常的な使いやすさも考えながら設計しています。
財布は、毎日何度も開いたり閉じたりするものです。
特に、折り曲げる部分やマチなどは、使用するたびに動きが生じます。
こうした部分では、革の厚みや柔軟性、構造を考慮した仕立てが重要になります。
革を厚くすれば必ず丈夫になるというわけではありません。
厚すぎると曲がりにくくなり、使い心地に影響する場合もあります。
反対に、薄くしすぎると、構造によっては必要な強度を確保しにくくなることがあります。
大切なのは、使用する場所に合わせて適切な革の厚みや構造を選ぶことです。
財布の製造方法には、革一枚で仕上げる方法と、複数の革を貼り合わせて仕上げる方法があります。
革一枚で仕上げる方法は、素材の使用量や加工工程を抑えやすく、軽量化にもつながる場合があります。
一方、革同士を貼り合わせる方法では、革の厚みを調整したり、接着や縫製を行ったりする工程が必要になります。
それぞれに特徴があり、どちらが必ず優れているというものではありません。
NOIR GARÇONでは、仕上がりの美しさや使いやすさ、素材の特徴を考えながら、製造方法を選んでいます。
財布づくりでは、完成した状態からは分かりにくい工程が数多くあります。
革の厚みを調整する「漉き(すき)」、革同士の貼り合わせ、カード段の位置合わせ、縫製などです。
これらの工程が適切に行われることで、財布全体の形状や仕上がりが整います。
また、カード段やマチなどの細かな部分にも、正確な作業が求められます。
こうした一つひとつの工程の積み重ねが、完成品の品質につながると考えています。
私たちは、約28年にわたりバッグや財布のOEM製造に携わってきました。
その経験から、財布の品質は、革の価格やブランド名だけで決まるものではないと考えています。
どれほど高品質な革を使用しても、その特徴を理解せずに加工すれば、素材の魅力を十分に生かすことはできません。
反対に、革の特徴を理解し、適切な設計と仕立てを行うことで、素材の良さを引き出すことができます。
良い素材を選び、その素材にふさわしい技術と手間をかけること。
それが、NOIR GARÇONが大切にしているものづくりの考え方です。
財布を購入するときには、デザインや革の種類だけでなく、カードの取り出しやすさや、財布の開閉、内装の構造にも注目していただきたいと思います。
一見すると同じような財布でも、細かな設計や仕立ての違いによって、使い心地は変わります。
もちろん、私たちの製造方法だけが正解ではありません。
それぞれの財布には、目的や用途に応じた設計があります。
私たちは、見た目の美しさだけでなく、実際に使う人のことを考えた財布づくりを大切にしています。
NOIR GARÇONは、これからも約28年の経験を生かし、素材の品質と製造技術の両面から、細部までこだわったものづくりを続けてまいります。
今回ご紹介した財布の仕立てについては、公式Instagramでも動画で解説しています。
NOIR GARÇON